【専門誌だけど初心者にもありがたい一冊】
雑誌「CRUISE(クルーズ)」は1989年創刊のクルーズ専門誌です。
「船旅だからこそ、見える景色へ」がテーマで、船上での美しすぎる風景や景色に映えるクルーズ客船の写真が本当に素晴らしい情報誌です。
世界のクルーズ客船の新造船情報、乗船最新レポートや、各国で人気のクルーズコースなど様々なクルーズに関する記事が満載です。
CRUISEの嬉しいところは、専門誌でありながら初心者にもとても配慮があるところです。
例えば「クルーズをもっと楽しむプチ技!」というコラムでは初めてのクルーズで持って行ったほうがいいものや、
船のグッズなども終日航海日や最終日近くになるとセールが行われるという情報など、助かるな~ということを教えてもらえますよ。
読者のページでは実際に乗船した方からの感想が載っていたり、船の名前を出して具体的なエピソードが書かれてあるとすごくわかりやすいですね。
特にクルーとのふれあいや親切にしてもらったことなどは、実際に船選びをする時大きなポイントにもなりますので、
こうしたささやかでも重要な記事が載っているのは大変ありがたいことだと思います。
また、CRUISEには乗船アンケートというページがあって乗船体験談を書いてFAXもしくは郵送できるので、自分が情報提供者になることも簡単だというのも助かりますね。
【人間を大事に報道する姿勢】
CRUISEは船の情報が多いですが、船に載っている人たち:クルー・乗客のことも大事に報道してくれます。
記者が乗船してレポートを書いた記事の中でも、よくクルーや乗客の「語り」が出て来ます。
「秋田地酒飲み比べ」イベントでクルーから「目が爛々と輝いてますよ」と言われたり、
乗客からも「陸でもこんなにたくさんの日本酒を一晩で飲み比べできるイベントがありますか?ないでしょう!」という声が挙がったり。
こうした会話を通して、記者がクルーや乗客と親しく交わって船を楽しんでいることが伝わってきます。
単に離れた場所から眺めて記事を書いているのとは違うなあと思わせるのです。
また「にっぽん丸の担い手たち」という連載では機関士やコック、チーフパーサーなどクルーひとりひとりにインタビューをして、
その人の人間性を深く掘り下げて伝えてくれるので、にっぽん丸に乗ってこのクルーに話しかけてみたいなと思わせられます。
CRUISE誌上放映世界の船旅のページでは「スタッフこぼれ話」もあり、こちらはユーモラスに船上でのエピソードを伝えてくれています。
外国船の取材にも慣れている記者さんが英語の表現に戸惑っているエピソードなどは、面白くもあり勉強になるので興味深いですね。
【後半のページにも注目!】
CRUISEは写真がとてもきれいなこともあって、ついつい前半のグラビアページに目が行ってしまいますが、
後半のモノクロページ、文章がメインのところも非常に読み応えのある記事が揃っています。
「洋上の日本食ブームに憂い」というコラムでは外国船でも日本食ブームがとどまるところを知らず、和食レストランも増えている。
けれど実際はまともな日本食にはなかなかありつけない…という事実。
単に嘆くだけではなく解決策の提言もしてくれているので、ぜひ外国の船会社がこの記事を読んで改善してほしいなと思います。
さらに客船入港カレンダーもあるので、地元の港にいつどんな船が来るのかがすぐわかって便利です。
それにクルーズ船だけではなくフェリー情報まで載せてくれているのもありがたいですね。
そして一番最後のページの編集後記も、編集さんの個性が出ていてなかなか楽しいです。
VR体験の後日談で筋肉痛になったとか、半年前の取材をやっと記事に出来たとか、犬を飼い始めてクルーズ船の新たな楽しみ方を模索する方とか。
編集さんたちのこともなんだか身近に感じられるのが、この雑誌CRUISEの大きな良さかもしれませんね。